芸術学科

芸術を制作と理論の両面から学ぶことを通して
人間を探求し、自分を見つけ出す

目指すもの

芸術学科は、高度に文明化した今日の人間生活のなかで、見失われがちな人間存在の尊厳性を見つめ直し、かたよることのない自由な人間性を取り戻す教育を目指しています。
根底には青山学院建学の精神であるキリスト教による人間理解をおき、芸術創造の行為を通して人間を探求し、また人間性を深めながら芸術を学ぶ学科です。

授業について

目指すもの
目指すもの

本学科では、芸術のさまざまな領域の中から、主として芸術理論や造形表現を通して芸術を理解し、理論と制作をバランスのとれた形で習得します。理論には、美学・美術史・芸術各論等の科目がありますが、特に芸術人間学という科目を設けて、芸術と人間を相互の関わりの中から深く理解することを目指します。制作では構成Ⅰの中で基本的な実技を学びつつ、それを構成Ⅱの自分の専攻したジャンルで発展させます。さらに美術に隣接する諸ジャンルや、宗教、思想、社会、自然などの関連領域にも強い関心を持って接し、広い基盤の上に立って芸術の複合、総合を目指しています。

芸術学科の学び

本学科の特色は、少人数教育とともに、1年間共通に総合的な基礎を学んだ後、2年次で自由に専攻を選べる点にあります。専攻分野は、制作系の絵画・デザイン・織、及び論文系のコースに分かれていますが、2年次の終わりにはおのおのの成果を制作あるいは論文という形で、卒業展として発表する場を設けています。ゆたかな芸術教養を身につけ、芸術創造についての基礎的な目がひらけ、卒業後、美術界・デザイン界、あるいは一般社会の中で、その力を大きく伸ばしていくことが期待されます。

カリキュラムについて

芸術学科は一般の文学部系の大学や芸術系の大学とは異なり、理論と制作をバランスよく学ぶことを目標にかかげて発足しました。理論と実習で芸術的なセンスを養い、芸術と人間の関わりを心身で学び、創造行為の素晴らしさを経験する場を教師と学生でともに創り出したいと考えています。そのために、さまざまな興味に対応できる選択肢の多いカリキュラムを設けています。

芸術人間学を中心に

芸術を通して人間存在のあり方を考える芸術人間学をもとに、芸術の理解を目的とします。美術の歴史、芸術の理論を広く学んでから、各論で個別的な作品・芸術理論を研究します。

芸術人間学 20世紀後半に企てられた新しい学問で、個別的な芸術作品やさまざまな芸術現象を通して人間とは何かを考え、論ずる学問である。特に21世紀の芸術のあり方を視野に入れて、環境としての芸術と人間との関わり、人間同士の関係の表現として芸術を見ていく。
美学Ⅰ・Ⅱ 人間は何に対して驚嘆し、畏敬の念を持ったのであろうか。真・善・美の価値のうち、自然美や芸術美に見いだされる“美”の特質を考える。古代ギリシアから21世紀に至るまでの美の系譜を明らかにし、その深い意味と魅力を考え、将来の芸術のあり方を探っていく。
美術史Ⅰ(西洋美術史) 西洋美術の流れを、主に近代から現代を中心に考える。創造とは何か、伝統とは何かを、個々の作品を比較しながら考察したい。
美術史Ⅱ(日本美術史) 山水や人物や花鳥などの題材が、屏風や絵巻などにどのように表現されてきたか、さまざまな画家の作品を比較しながら、日本美術の特質を考える。
芸術各論Ⅰ・Ⅱ 芸術各論Ⅰでは美学・芸術理論を。芸術各論Ⅱでは美術史・作品論を通して、芸術の多面的な構造を理解する。
芸術論演習 美学・哲学及び美術史が、それぞれどのような学問であるかを、文献の読解や発表・討論を通じて理解することを目指す。
美学・美術史演習 美学及び美術史をテーマとする基本的な文献を題材にして、美学的・美術史的な思考法を養う。
芸術文献講読 英語の論文の読解を通して、美学及び美術史の個別的な問題を深く考察するとともに、英語の理解力を深める。

複合・総合による芸術制作

構成Ⅰでは油彩、塑造、デザイン、織の基本的な造形表現を学び、構成Ⅱ・Ⅲでは各自の専攻を学びます。構成論では今日の芸術やデザインのあり方について考えます。

構成Ⅰ(1年次:基礎実習) 前期にはモデルを用いて50号油絵と版画、人物頭像の彫塑、平面デザイン、基礎織を学ぶ。後期に油絵・木彫・デザイン・織の中から2種選択して展開する。
構成Ⅱ(2年次:専門実習) 絵画専攻/人物油絵60号、静物、版画。
デザイン専攻/空間・形態・色彩をテーマとした抽象表現(平面・立体)。
織専攻/自然をテーマとした織造形。
構成Ⅲ 構成Ⅱの展開で、各専攻ごとに卒業制作を行う。
構成論Ⅰ 絵画・彫刻等の作家と表現を通して、その芸術の本質を理解しながら、「人間にとって表現とは何か」という大きな課題について考えていく。
構成論Ⅱ 芸術表現の基礎となる造形理念である「構成」について、近代の抽象造形運動、デザインの歴史の中で学び、形態・色彩などの造形原理の理解を深める。

芸術をめぐる広い視野

芸術はそれが生み出された社会や文化の状況と決して無関係には存在しません。特講では思想や社会などの新しい視点を通して芸術を考えます。

芸術学特講Ⅰ(芸術と宗教) 芸術と宗教の問題を、芸術の起源としての宗教などの観点から、両者の間の基本的・本質的な関係について考える。
芸術学特講Ⅱ(芸術と思想) 芸術と思想の問題を、思想の定義から始めて、芸術についての思想、現代思想と芸術などの観点から考える。
芸術学特講Ⅲ(芸術と心理) 宗教画はそれを見た鑑賞者が、宗教の本質に触れることをひとつの目的に描かれた。その目的に達するため、画家はどのような効果を狙って制作したかを考えたい。
芸術学特講Ⅳ(芸術と社会) 女性と美術をめぐる問題を、さまざまな視点から考える。美術の中の女性像の変遷を通して、社会における女性イメージの推移をたどりたい。
芸術学特講Ⅴ(芸術と自然) 神話時代や古代ギリシア、ルネサンス、さらに20世紀初めのドイツまで、ヨーロッパを中心に、「芸術と自然」をめぐる思想を理解する。

芸術周縁科目

芸術の諸ジャンルを学び、その広さと深さを考えながら独自の表現の問題を考えます。それらを通して美術を新しい視点からとらえることを目的とします。

建築論 建築の歴史を通して、様式の発展、技術革新、建築のタイプや装飾の展開をみる。さらに建築という対象から、それを生み出した人々の文化や芸術表現を読み取る。
音楽論 音楽作品を創ることも演奏を聴くことも、人間の考えていること、人間観や世界観が関わって行われている。個人の思想や時代の考えの表現としての音楽を論理的に考えることで、音楽の意味、深い表現の構造を明らかにする。
文学論 アメリカの小説家F.スコット・フィッツジェラルドの代表作『偉大なギャツビー』(1925年)の翻訳を精読しながら、文学作品の色々な読み方を学習する。
映像論 写真や映画、テレビ、コンピュータなど、19世紀末から現代に至る映像文化の歴史をたどり、現代のメディア文化の理解を深める。
演劇論 キリスト教劇や歌舞伎など、古今東西の演劇を比較・検討しながら、現代演劇の特徴や問題点を探る。日本と西洋の演劇の影響関係なども講義する。

卒業制作/卒業論文

2年次に卒業研究の専攻を決めます。卒業研究は、制作・論文いずれの選択も自由で、卒業時には作品または論文という形で卒業展に発表します。

卒業制作/卒業論文

制作系 「構成Ⅱ・Ⅲ+卒業研究」

絵画

構成Ⅰ・構成Ⅱで学んだ絵画の基本である人間表現をさらに深め、学生自らの絵画表現を構築していきます。人間と芸術というテーマを絵画の制作、実践を通して探究していきます。

  • ●前期/人物油画60号2点・静物・版画
  • ●後期/80号以上2点 版画(リトグラフ・エッチング)

絵画

計画的な色彩・形態・構図研究をもとに抽象的な表現を行いますが、デザイン造形の芸術としての可能性を探究します。

  • ●前期/平面と立体
  • ●後期/平面・立体いずれかを選択

構成Ⅰで学んだタピスリー制作を軸に、さらに素材、織のストラクチャー、フリーテクニック等、繊維造形表現の展開を探究することで、各自のテーマを卒業制作へ結実させます。

  • ●前・後期/繊維を用いた造形表現

論文系 「構成Ⅱ(前期)+卒業研究」

哲学・美学

哲学・美学・個別芸術論のいずれの領域でも良いが、基礎的な文献を読解し、内容を自分のものとした上でそれを理論的に展開する訓練をし、論文としてまとめてもらいます。テーマは個別に相談します。

美術史

美術史の論文の書き方について、発表・討論を中心に進めます。論文のテーマは、各自の関心に応じて自由に選んでもらいます。