2019年度青山学院女子短期大学公開教養講座(第2回)が行われました

7月20日(土)、2019年度青山学院女子短期大学公開教養講座の第一部「リベラル・アーツと女性の創造力」第二回講演会が行われました。
本学美術史講師・伊藤已令先生による「版画界の女性パワー 近世ヨーロッパを中心に」と題した講演でした。絵画に比べて一段低く見られがちだった版画界の、しかも女性版画家についての講義というたいへんユニークなテーマで、とても貴重なお話をうかがうことができました。
16世紀イタリアのディアナ・マントゥアナは版画家の娘で、父より版画を学び、卓越した技術を身につけます。建築家と結婚すると、版画によってまだ無名の夫を売り出し、また教皇特権を得たりパトロンを味方につけたりと、様々な才能を発揮しました。17世紀のクロディーヌ・ブゾネ=ステラは叔父のジャック・ステラに版画を学んでその工房を継ぎ、ゲルトルート・ロフマンは版画家の父に版画を習って「家事」をする女性など女性ならではの作品を残し、エリザベッタ・シラーニは画家の父に絵画教育を受け、父の工房を引き継ぎます。
18世紀フランスのマルグリート・ジェラールはジャン=オノレ・フラゴナールの義妹で、フラゴナールから版画指導を受けました。最近の研究によって、フラゴナール指導作品とされてきた版画のいくつかはマルグリート単独作品であると推測されています。スイスのアンゲリカ・カウフマンも画家の父から絵画教育を受け、イギリスに渡って版画を上手に利用しながら自らの絵画を宣伝し、ファニチャープリントという新たな版画需要を生み出しました。
美術史に名を残す男性巨匠の陰には、このように多くの女性美術家たちの存在がありました。画家の父親など恵まれた家庭環境により美術を学ぶことのできた女性たちが、卓越した自らの技術を頼みに、家事や結婚など限られた条件の中で花開かせ、自己演出力やコミュニケーション力などを駆使して活き活きと新しい領域を切り開いていった様子が、今日の講義でよくわかりました。
蒸し暑いお天気の中、足をお運びくださった渋谷区民の方々、本学卒業生、在学生の皆様、ご参加ありがとうございました。

次回は9月21日(土)11時より、本学・阿久津光子教授による「織という表現」です。申し込み期間はすぎてしまいましたが、当日おいでくださってもかまいません。ご来場お待ちしております。

当日アンケートより:
「初学者にもわかり易く解説され、内容の濃い講義でした。」
「良くまとまった説明でわかりやすかった。女性の活躍ぶりが発見でした。」
「女性が関わることのできる環境で、女性ならではの視点で作られた作品、とても貴重だと思った。初めて版画を美しいと感じることができた。」
「先生がお美しい、やはり美術をやる方!」
「毎回充実したひとときを体験でき感謝しております。女性パワー第二弾、19世紀から現代編もぜひ!」

2019.07.23