2019年度青山学院女子短期大学公開教養講座(第3回)が行われました

9月21日(土)、2019年度青山学院女子短期大学公開教養講座の第一部「リベラル・アーツと女性の創造力」第三回講演会が、阿久津光子 本学教授により「織という表現」と題して行われました。
はじめに「織物と女性」として、ギリシャ神話や日本の昔話の例から、古来より織物が家庭における女性の仕事のイメージとして定着していること、その理由として、織物は共同作業が可能で、また途中で作業を止めることができるなど、女性がコミュニティの中で協力しながら、育児と両立できる仕事であったというお話がありました。
また17・18世紀のヨーロッパではギルドのマイスターは男性で、女性たちがギルドに所属することはできなく、19世紀に動力織機が導入されると女性たちは専門家としてではなく労働力とみなされていたことなど、織の歴史の中で女性がどのような立場にあったかが語られました。20世紀前半のドイツに存在した芸術学校「バウハウス」では女子学生に工房選択の自由がなく、ほとんど無条件に織物工房に入らなければならなかったそうですが、バウハウスの各工房が企業と組んで産業デザインを発達させていく中、織物工房でも女性のテキスタイルデザイナーという新しい職業を生んだというお話が印象に残りました。
後半は織の歴史のお話でした。人間は織物をつくり出す以前から、鳥や蜘蛛の巣など自然から学び、動植物の繊維を用いて布をつくってきたこと、その後、経糸・緯糸を直角に交差させる「織物」がつくり出され、その構造によって様々な表情や柄を生み出してきたことなど、アンデス、トルコ、ペルシャ、イランと、様々な時代・地域の織物の現物も見せていただきながら、興味深く伺いました。
さらに19世紀初頭、穴を開けた紋紙によって経糸を制御するジャカード機が誕生し、コンピュータの開発につながったというお話では、阿久津先生ご自身のジャカード織の作品も紹介してくださいました。また最後には「現代の繊維造形表現」として、多様な現代アート作品の数々が写真で紹介されました。
古代から現代まで、人間が繊維を用いて生活を豊かにし、織という技法が産業を発展させながら、芸術表現の一端を担ってきたことなど、私たちの生活に身近な繊維・織物について、新たに知ることが多く、1時間半があっという間に感じられる講演会でした。

これで公開教養講座の第一部が終了し、次は第二部「リベラル・アーツと図書館」として10月19日(土)にさくまゆみこ 本学元教授による「ちりめん本の魅力」が開催されます。申し込み期間は過ぎていますが、当日のご参加も可能です。ご来場をお待ちしております。

2019.10.15