2010年度卒業の皆さんへ(学長メッセージ)

第61回目の卒業を迎えた本科学生1,062名の皆さん、ならびに、第48回目の専攻科修了を迎えた専攻科生129名の皆さん、皆さんの中には11日の東北・関東大震災にあわれて命を落とした方や被災した方も多くおられるに違いありません。卒業を迎えても、青山学院女子短期大学を代表して心からのお祝いを申しあげることなどは、できません。卒業式や追悼礼拝も出来ぬままの卒業も、残念でなりません。お亡くなりになられた方々には、安らかでありますようお祈り致します。また、被災された方々には、早く復帰出来ますよう、エールを送らせて頂きます。

しかし、卒業生の大多数はその中にあって、無事または被害が軽微であった方なのではないかと推察致します。大きな被害を受けた学友の皆さんやそのご家族、ご親族の方々、地域の皆様へ、強い連帯の意識を持っておられると思います。
私は、過去の入学式の告辞の中でそして学内のさまざまな機会があるごとに、自分をどこかで見つけるものではなく、自分自身で作っていくものである、在学中に学びの中で、学生生活の中で、社会の中で、自身で作っていってほしい、と申しあげてきました。このメッセージを読まれて、本学で培った自分自身が、何らかの形で被災された方々、地域へ、自身で出来るなにがしかのことを、再確認して頂きたいと存じます。
この東京の地でも、通常の生活を今までどおり送っていくことはできず、いくつかの不便を受けてはおりますので、今回の震災を全く別世界の出来事として見ているわけではありません。その中で、自身の行動がどのように被災地の生活へ影響するのかであろうことも、見えるようになっております。どうか自分を見つめつつ行動なされるよう願います。
また、卒業後社会人となられるわけですが、これからも自分作りを進めていってほしいとお願いするとともに、周りから何かをしてもらう自分ではなく、周りに社会に自分が何かをしていくという自分を作っていく事も、お願い致します。
聖書の言葉にも、「あなたがたの中で偉くなりたいものは、皆に仕える者になり、一番上になりたい者は、すべての人の僕になりなさい。人の子は仕えられるためではなく仕えるために、また、多くの人の身代金として自分の命を献げるために来たのである」とあります。
他者があっての自分であります。自分のやりたいことを探し自分に合ったことを探すということだけではないのです。それだけでは今の自分にとどまってしまい、更に成長して行くことがなくなっています。他への深い思いやり、愛、共感が同時になければいけません。共に生きているのです。他への責任もなければいけません。自己責任という言葉が語られたことがありましたが、自分のことだけを自分で対処するのではなく、個々の個人だけではなく、皆がそして社会が、すべての人と社会に対する責任を進んで果たすように心がけていただきたいと、願います。
一方、仕えられる立場にあっても、周りからサポートを受ける立場であっても、これを進んで受け、次にはまた逆の立場で貢献することも、当然であります。
今までに申しあげたすべてが、青山学院のスクール・モットーである「地の塩、世の光」として生きるということであり、女子短期大学の教育理念である「愛と奉仕に生き、社会に積極的な貢献をなし得る覚醒した女性」へとこれからも向かい、更に成長していってほしいということにつながるものであると存じます。自分を失わず、周りを見据え自分で判断し、社会に積極的な貢献をなし得る真に目覚めた覚醒した女性であってほしいということを、願っているのであります。

最後になりましたが、再度、今回の災害で命を落とされた方々と、1月に病気でお亡くなりになった家政学科教授鈴木すゞ江先生のご冥福をお祈りし、御家族の方々へ神さまの御慰めがありますようお祈りいたします。また、被災された方々への強い連帯の意思を表明いたしますとともに、これからの復興の道に神さまのお支えのあることを心からお祈りいたします。また、この3月末に、皆さんと一緒に英文学科教授池田孝一先生、芸術学科教授淀井彩子先生、子ども学科教授今関公雄先生、の3名の先生方が定年をもって本学を離れることになりました。卒業修了の皆さんとおなじく幸多かれとお祈りいたします。
以上をもちまして、皆様をお送りする言葉といたします。
2011年3月18日
青山学院女子大学学長 谷本 信也
2011.03.18