青山学院女子短期大学閉学のあいさつ

河見 誠
青山学院女子短期大学
第9代学長 河見 誠
Makoto Kawami

青山学院女子短期大学は、アメリカの若き女性宣教師ドーラ・E・スクーンメーカーが創設した小さな女子小学校をそのルーツとします。本国アメリカでもようやく始まったばかりの女子教育と、教会を中心とした女性同士の連帯を、宣教師たちは日本にも花咲かせようと、国境を超えて手を差し伸べたのです。その後形を変えながら大きく発展してきた青山学院の女子教育の歴史は、戦後、青山学院女子短期大学に、たくさんの希望を託されて、引き継がれました。

国文・英文・家政による学科体制で始まった青山学院女子短期大学は、高度な教養教育が高く評価され、その規模を広げていきます。1962年児童教育科、1966年教養科、そして1989年芸術学科が創設され、本学のリベラルアーツ教育の形が完成しました。この時点で日本で最も大きな短期大学の一つとなりました。

その後、児童教育学科は2006年に3年制の子ども学科に改組、2012年に5学科及び一般教育科目を現代教養学科に改組し、時代の変化に対応しながら豊かな内面を育てる理想の教養教育を追求し続けてきました。2014年には認定専攻科として子ども学専攻(1年制)、現代教養専攻(1年制)、多元文化専攻(2年制)を設置し、学生は2年、3年、4年と多様な学びができるようになり、学士取得も可能な途を開くに至りました。21世紀において、短期大学という枠組みでなしうる限りの、キリスト教に基づいた女子高等教養教育のモデルの一つを創り上げることができたのではないかと考えます。

しかし、18歳人口の減少や女子の四年制大学への志向が強まる中でさらに本学のあり方について議論を重ね、本学の教育理念を今後は青山学院大学において追求することとし、学生募集を停止することとなりました。
青山学院女子短期大学の教育理念は「愛と奉仕に生き、社会のあらゆる局面で積極的な貢献をなし得る覚醒した女性の育成」です。戦後日本の女子教育の最先端を担いつつ、学科卒業生62,030名、専攻科修了生6,181名を、「地の塩、世の光」の働き人として世に送り出してきました。

2021年には、本学のジェンダー研究を受け継ぎ、青山学院における女子教育の伝統を新しい時代に継承するために「青山学院大学附置スクーンメーカー記念ジェンダー研究センター」が設立されました。これまで積み重ねてきた教養教育、ジェンダー教育、神と人に仕える人格教育の蓄積は、青山学院大学コミュニティ人間科学部に移籍した教員によって、学部、青山スタンダード科目などにおいて継承発展されていきます。33万冊を超える蔵書を有し、「教養の宝庫」と自負してきた本学図書館は青山学院大学の図書館に統合され、コレクションなどは大学新図書館で保存される予定です。

すべてのものには始まりと終わりがあります。しかしすべてが消滅して無になることにはならない「新たな始まりとしての終わり」があるということを、イエスの生涯、十字架と復活を通して聖書は示しています。「わたしは世の終わりまでいつもあなたがたと共にいる」(マタイによる福音書28章20節)というイエスの言葉に励まされながら、復活の主と出会った弟子たちと同じように、青山学院女子短期大学につながる皆様と共に、ここから新しい一歩を歩み始めたいと願うものであります。

2022年3月31日
青山学院女子短期大学

学長 河見 誠